先月24日~27日まで、熊本県益城町にある辻の城地区に行って来ました。被害が大きかった木山地区や宮園地区と違い、この辻の城地区は台地となっており、比較的地盤が良好であると判断される地域です。
この辻の城地区は、南から北に向けて標高が緩やかに高くなる地形で、防災科学技術研究所のK-NET(Kyoshin Net:全国強震観測網強地震計)が設置されている辻の城公園がその台地の頂上付近に位置していました(写真がその地震計設備です)。
現在更地となっている箇所を一通り地図上にチェックをし、グーグルマップにて元の住宅がどのようなものであったかを知る手がかりとしました。すると、倒壊したであろう住宅は瓦屋根で風窓のある基礎の住宅であることが殆どでした。また現在も倒壊したまま残っている住宅も瓦屋根の住宅ばかりでした。他方、築浅のコロニアル屋根住宅においては壁面などにクラックも入っておらず、良好な状態であることがわかりました。
築38年の瓦屋根、風窓のある基礎の住宅で倒壊してしまった方の話をお聴きました。台風でも瓦が飛ばされないように瓦一つ一つを留めているなどメンテナンスをしっかりしていたのに残念であったということでした。ある方は昨年500万円もかけて瓦を葺き替えたにも関わらず住宅が倒壊してしまったとのことでした。
総合的に判断してみますと、屋根が軽く現在の耐震強度を満たし、地盤が良好である台地に建設している住宅は今回の震度7を2回経験したものの被害などは発生していないように思えます。これは良好な地盤は岩盤から伝わる地震力の増幅が比較的小さいため、地面が動く変位量が少ないことが幸いしたのだと考えます。一方、瓦屋根の住宅は屋根が重いため、地盤の変位量が少なくても住宅に作用する慣性力により、より大きく振れてしまうことと、現在の住宅ほどの耐震強度も持ち合わせていないことにより、良好地盤であったにも関わらず倒壊に至ってしまったと思われます。
当社員の一人は、瓦留めをしていたことにより、より条件が重なったというコメントをしていました。瓦留めをしていなければ地震時に瓦が落ちて屋根が軽くなるなど条件になった可能性があると指摘していました。
今回、台地である辻の城地区を見て感じることは、矢張り地盤の良好である場所に住宅を建築することがいかに重要であり、且つ耐震性能を担保する住宅であることが必要だと感じました。これから住宅を建築される方は、台地や扇状地、河岸段丘など地盤の良好なところに住宅を建築されることを強くオススメいたします。