軟弱地盤のリスクとは?家を建てる前に押さえておくべきポイント

軟弱地盤とは、建物を支えるのに十分な強度や安定性を持っていない、やわらかくてもろい地盤のことです。軟弱地盤の上に建物を建てると、沈下して傾いてしまう恐れがあり、非常に危険です。本記事では、軟弱地盤の特徴や見分けるための方法を紹介します。

軟弱地盤は、地盤が液体状になる「液状化現象」や沈下して家全体が傾く「不同沈下」といったリスクをともないます。また、建物の傾斜角度が大きくなると、吐き気やめまい、頭痛などの健康被害なども発生する可能性もあります。
しかし、リスクを事前に把握し、適切な対策を講じることで、安全で快適な住まいを手に入れられるでしょう。
この記事では、軟弱地盤の原因やリスク、見分けるための方法を解説します。

軟弱地盤とは?
軟弱地盤とは土の強度が弱く、変形しやすい地盤を指します。
建物を建てると、傾きや沈下のリスクがあり、非常に危険なため、適切な対策をとる必要がある地盤のことです。

軟弱地盤となる原因
軟弱地盤は、土地に水分が多く含まれている、または土がやわらかい場所で多く見られます。以下の場所は、軟弱地盤になりやすい傾向があります。
・水のあった場所を人工的に埋め立てた場合
・盛土で整地された土地
・切土と盛土の混合地
田んぼや川、海を人工的に埋め立てた土地や、枯れた川や沢を整地した場所では、土壌に水分が多く含まれていることがあり、軟弱地盤である傾向があります。

さらに、盛土で整地された土地も軟弱地盤になりやすいといえます。盛土は、ほかの場所から持ち込んだ土を積み上げて、人工的に作った地盤です。
そのため、長い年月をかけて形成された地盤に比べて、土が適切に締め固められていないことが多いためです。

硬質地盤との違い
軟弱地盤と硬質地盤の主な違いは、地盤の強度と透水性にあります。硬質地盤は、岩盤や小石を多く含んでおり、硬く締まっていて強度が高いのが特徴です。
山地や高所に多く見られ、ほとんどの場合安定した地盤となっています。
また、硬質地盤は透水性にも優れており、水が地盤をスムーズに通り抜けるため、地盤自体に水が溜まりにくい性質を持っています。
一方、軟弱地盤は、やわらかい粘土やゆるい砂からできているため、強度が低い地盤です。透水性が低いため、地盤に水が溜まりやすく、とくに低地や埋め立て地に多く見られます。

軟弱地盤が引き起こすリスク
軟弱地盤に家を建てると、建物や家族の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。軟弱地盤が引き起こすリスクについて、以下で詳しく解説します。

基礎の沈下と建物の傾斜
軟弱地盤の土地に建物を建てた場合、建物の基礎が地面に沈んでしまう、建物が片方に傾くことがあります。

重い建物が軟弱地盤の上に乗ると、圧力によって地面が押しつぶされ、基礎が沈んでしまいます。沈下が進むと、建物全体が不均等に重さを支えることになり、結果として片側に傾くのです。

液状化現象による建物の沈下
液状化現象による建物の沈下も軟弱地盤では起こりやすくなります。液状化現象とは、地震の揺れによって軟弱地盤が一時的にやわらかくなることで、建物が沈む現象のことです。
地震の震動で、水より重い石や砂が下に沈もうとすると、水が浮き上がり、硬い土に見えていたものが一時的に水のようにやわらかくなります。建物はその土の上に建てられているため、土が柔らかくなると、建物も一緒に沈んでしまいます。

たとえば、少量の水が入ったペットボトルを想像すると分かりやすいでしょう。ペットボトルに砂を入れて揺らすと、重たい砂が下に沈んで水が浮き上がるのと同じことが、液状化現象でも起こります。

不同沈下の典型的な特徴
不同沈下とは、建物が傾きながら沈む現象を指します。同じ敷地内で不均一に軟弱地盤と硬質地盤が混在していたり、建物の重さが地盤に不均一にかかるなどが原因で不同沈下が起こりやすくなります。

簡単に解説すると、やわらかいクッションの上に立ち、片方の足を硬い床に置いたと想像してみてください。この場合、クッションの上にある足だけが沈み、硬い床に置いている足は沈みません。クッションと同じように、建物でも一部だけが沈むため、建物全体が傾いてしまうのです。

建物が傾くと、修理には時間と費用がかかります。また、傾くことで平衡感覚が乱れ、頭痛やめまいといった健康問題が発生することもあります。そのほか、壁に亀裂が入る、水回りが詰まりやすくなるといった現象も起こりやすくなります。

軟弱地盤を見分けるための方
軟弱地盤は、建物の安全性や耐久性に大きな影響を与えます。以下で、軟弱地盤を見分けるための具体的な方法を紹介します。

地名をチェックする
昔の地形や土地の特徴は、地名に反映されることが多く、地名からその土地がどのような地盤なのかを推測できる場合があります。
たとえば、川、浜、岸、橋、沢、沼、田などが含まれる地名は、かつて湿地や沼地、川沿いだった場所を示しており、水が多く含まれている軟弱地盤の可能性があります。窪や谷、下なども低地を意味しており、地盤が安定していないことが考えられるため注意しましょう。
また、危険地名は印象が悪いため、新たな名前に変更されているケースもあります。古い地名は、地域の図書館の古地図や法務局、町史などで確認可能です。

・現地調査の実施
専門的な機器を使わない簡単な方法でも、ある程度地盤の状態を確認できます。以下を参考に調査してみましょう。

・周囲の地形を確認する
・周辺の建物を観察する
・地図やハザードマップの活用
川、池、湿地などの水場が近くにあると、その地域は水分を多く含み、軟弱地盤になりやすくなります。また、低地や谷間も水がたまりやすく、軟弱な地盤の可能性があります。
建物の沈下やひび割れが見られる場合も、地盤が不安定であるサインです。ほかにも、ブロック塀や電柱が傾いているケースがあります。
また、地盤情報が得られる地図サイトやハザードマップは、過去の調査や災害リスクをもとに作成されているため、軟弱地盤かどうかを判断可能です。

・地盤調査の実施
建築する土地が軟弱地盤かどうかを正確に確認するために、地盤調査を行うことが大切です。地盤調査には以下の方法があります。

・スクリューウエイト貫入試験(SWS)
・ボーリング調査
・表面波探査法

スクリューウエイト貫入試験は、大きな棒を地面にねじ込んで、その抵抗の強さを測る方法です。手動式、半機械式、機械式の3種類があります。

ボーリング調査にはいくつかの種類があり、最もよく使われる方法は「標準貫入試験」です。ボーリングロッド(試験用の棒)を地面に打ち込んで、地面の硬さを判断します。同時に、土の状態を確認するために地中の土を取り出します。

表面波探査法は、地面に揺れを人工的に起こし、その揺れが地中を伝わる速さを測る方法です。データからは、地層の境目や各層の強度を読み取れます。また、新しく建てる住宅がどれくらい沈む可能性があるか沈下量を確認できることが特徴です。

住宅を建築する際の地盤調査は、一般的にスクリューウエイト貫入試験か表面波探査法が多く利用されています。
表面波探査法は、地盤の強度と沈下量まで計測出来、地盤に穴を開けない非破壊式の調査で無駄な地盤改良工事判定が無くなる特徴があります。
軟弱地盤かどうかお悩みの方は、住宅向け地盤調査を専門とするビイックにご相談ください。

こちらの記事では、地盤調査の費用について解説しています。費用の目安や調査会社を選ぶ際のポイントも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ
軟弱地盤かどうかは、周囲の地形や建物、地名の確認、地図やハザードマップの活用などでもある程度は分かりますが、正確性が高いのはやはり地盤調査です。地盤調査には、スクリューウエイト貫入試験(SWS)やボーリング調査、表面波探査法などさまざまな方法があります。

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