住宅を購入して長く住み続けるためには、地層の種類を把握しておくことが重要です。主な地層の種類や地盤調査する際に役立つ知識について詳しく解説し、地盤調査の重要性や方法についても紹介します。
住宅を購入する際は、土地の状態についても把握しておくことが大切です。十分な強度の土地でなければ、長く住み続けることは難しいでしょう。土地の状態によっては、地盤改良が必要になるケースもあります。
そこで今回は、土地の状態について詳しく知りたい方のために、主な地層の種類や特徴、地盤を調べる際に役立つ知識をご紹介します。これから住宅を購入する方は、ぜひ参考にしてください。
【年代別】地層の主な種類
地層とは、砂・火山灰・植物や動物の死がいなどが層状に積み重なってできたもので、形成された年代別に分類が可能です。層の厚みや層を構成する成分は、エリアによって違います。
沖積層と洪積層は、住宅を建てる際に考慮すべき地盤の特性に大きく関与していることから、土地選びの際にも重要視されています。それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
沖積層
約2万年前の時代をウルム氷期最盛期といい、これ以降から現在までにできた最も新しい地層が沖積層です。水分が豊富であり、固まっていないことがあります。
そのため軟弱な土地であることが多く、地震発生時には液状化や地表面が沈下するなどのリスクが高く、建築の際には地盤改良しなければならない場合が多いといわれています。
洪積層
洪積層とは、ウルム氷期最盛期以前につくられた地層を指しています。強固な力で結合した砂・粘土からつくられており、長い時間をかけて固まっているため、強く安定しているのが特徴です。
建築物の基礎に適しており、地盤調査をおこなって地盤改良が必要と判定されることが少なく、建築コストを抑えやすい・安心して住宅を建てられるなどの利点があります。
【地質別】地層の主な種類
地層は、つくられた年代別だけではなく、構成する成分によっても分けられます。さまざまな成分があり、それぞれ特徴が異なるため、住宅を建てる際には十分な調査が必要です。以下では、6種類の成分について強度や性質を詳しくご紹介します。
表土
表土とは、地表に一番近い部分にある層で、砂・粘土をはじめ落ち葉など植物の残がいからできています。元の地層が長い時間をかけて崩れたものや、田や畑の表面も含みます。
層は薄く、柔らかくて軟弱であるため、建築には適していないことがあります。また、盛土・埋土のように人の手で造られた地盤についても、表土と分類する場合もみられます。
粘土層
粘土層は、極めて小さい土の粒子である粘土が積み重なってつくられた地層です。粘土のもつ特徴によって圧密という現象が起こる可能性があるため、注意しなければなりません。
建築物などで地面に圧力が加わり、粘土層に存在する水分や空気が押し出されると、粘土が徐々に収縮していき、地表面が沈下することを圧密と呼びます。
圧密は、土地すべてに起こるわけではありません。水分や空気が存在している部分にだけ起こるため、住宅が傾いたり歪んだりする原因になります。圧密のリスクがあることから、しっかり地盤調査をおこない地盤の強度と沈下特性を調べることが重要です。
シルト層
砂よりも細かく、粘土よりも粗い粒子の土が主体となっている層をシルト層と呼びます。性質的に粘土層に似ているため、圧密により地表面が沈下するおそれがあり、建築時には注意が必要です。地盤の調査を行い、必要に応じて改良する必要があるでしょう。
砂層
砂層は、シルトに比べて粗い粒子である砂が主体となってできています。目に見えるほど粒が大きいことから隙間が多く、水はけがよいのが特徴です。仮に水が含まれていても土がすぐに変形するため、圧密による沈下はほぼ起こることがありません。
地盤としては安定していることがほとんどですが、地下水位が高く砂が緩く積み重なっている場合もあるため、建築時は地盤の状態をしっかり調査することが大切です。
砂礫層
砂と小石などの礫が混ざった層のことを、砂礫層といいます。地盤が強くて安定しており、建築には最適です。
岩盤
岩盤とは硬い岩などからできている層のことで、崖や山地などでよく見られる地層です。砂・粘土・泥などが長い月日を経て固まったものや、火山の噴火であふれ出た溶岩やマグマが地面の下で固まったりしたものが岩盤になります。
岩盤は、長い年月をかけて自然の作用によって作られた岩石の集まりであり、非常に固く強いため、基礎に杭を打つ場合の支持基盤に適しています。岩盤がつくられた時期によって軟岩と硬岩に分類されますが、どちらも住宅を建てる際に問題なく利用することが可能です。
地層と地盤調査に関する知識
住宅を建てたり購入したりする際には、住宅を支える土台となる地盤を十分に調査し、長く住み続けられるかどうかを確認しておくことが大切です。以下では、調査の重要性や具体的な調査方法について詳しく解説します。
地質や地盤との違い
地層は、長い歴史のなかで砂や粘土などが積み重なってできた地面の層を指します。一方、地質は、どのような種類の岩や土で地面がつくられているのかを示すものです。すなわち、地層の中の成分を指しています。
地盤の地層と地質の状態と強さによって、建物を支える強さや安定性に関わってきます。住宅を建てるときに大きな影響を及ぼすため、地盤の強さをしっかり確認しておかなければ、将来的に大きなトラブルが起こる可能性があります。
地盤の状態をしっかり調べないと、住宅が不同沈下するなどのリスクが高くなり、長く住み続けることが難しくなるでしょう。
住宅だけではなく道路などのインフラにも影響が及ぶ可能性があるため、人が安全に暮らすうえで、地盤の強さは欠かせない要素だといえます。
地盤調査の重要性
もし地盤が軟弱な土地に住宅を建てると、いずれ建物の重量に耐えきれなくなり、住宅が沈んだり傾いたりするおそれがあります。
一見強度が高そうな土地でも、実は地震の影響を受けやすいという場合もあり、土地の性質を知らずに住宅を建てると安全に暮らし続けることが難しくなります。
住宅の安全性を脅かすリスクを少しでも減らすためには、地盤調査を行うことが重要です。土地の強さや、将来的な沈下の予測を調べることができます。
住宅を建てても安全なのかどうかを確認できるため、一生ものの住まいを安心して建てることができます。また、調査の結果、仮に地盤が弱いと分かった場合でも、地盤を改良する工事を行えば強度を高めたり、沈下しないよう対策したりすることができます。
まずは、土地がどのような性質・強度なのかを知るために、建築前は地盤調査を実施しましょう。
地盤調査の方法
調査方法には、SWS試験や表面波探査法などいくつかの種類があります。住宅を建築する場所や造成状況によって調査方法を選定することにより、コストを下げた地盤対策を行うことができます。
SWS試験はスウェーデン式サウンディング試験のことで、深さ10mほどまでの地盤を調べることができます。鉄の棒の先にスクリューを取り付け、重りを乗せたり回転させたりして地中に貫入させていき、貫入させるのに必要な荷重や回転数を測定することで地盤の強さを評価する方法です。調査時間が半日から1日ほどと短い点やコストが低い点などがメリットに挙げられます。
一方、表面波探査法は地面を掘らずに測定できる方法です。表面波という振動を発生させ、地盤の中を伝わる波の速度を測定することで、地盤の強さを調査します。
SWS試験に比べて広範囲を非破壊的に調査できる点や、鉄の棒が貫通できない場合や地盤改良(表層地盤改良)上でも問題なく調査できる点が利点です。また、沈下予測まで計算することにより、SWS試験よりも無駄の無い地盤判定をおこなうことが可能です。どのような方法で調査する方が良いのか分からない場合は、専門的な知識を持つ会社に依頼するとよいでしょう。
こちらの記事では、SWS試験の特徴や地盤調査方法などを詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
地層は、形成された年代や構成している成分によっていくつかの種類に分けられます。中には軟弱な地層もあるため、住宅を建てる際は、地盤の強度をしっかり調べることが必須です。
住宅を購入予定の方で地盤調査を実施したい場合は、住宅向け地盤調査が専門のビイック株式会社にご相談ください。提案する地盤対策方法が多いため、なるべくコストがかからない地盤判定が可能です。また、地盤調査のセカンドオピニオンサービスも実施しています。
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