本記事では、地盤調査の必要性について解説します。
また、地盤調査の具体的な方法やかかる費用、地盤調査を依頼する際の会社の選び方も紹介するため、ぜひ最後までご覧ください。
地盤調査とは、建物を建てる際にその地盤がどの程度固く、またどの程度重みによって沈み込む可能性があるか調べることです。
住宅を建てるにあたって必ず実施しなければならない調査ですが、その重要性について完全に理解している人は少ないでしょう。
今回は、地盤調査の必要性について詳しく紹介します。また、複数ある地盤調査の方法や一般的な地盤調査にかかる費用、そして実際に地盤調査を依頼する際の会社を選ぶポイントなども取り上げるため、これから住宅建築を検討している人はぜひ参考にしてください。
地盤調査の必要性
住宅が建てられる土地か判断するために必要な地盤の情報(性質や強度、沈下特性など)を把握し、地盤沈下(=不同沈下)などによるトラブルを防止するためには必須となります。
阪神・淡路大震災以降の2000年に建築基準法が改正され、住宅を建てる前の地盤調査が事実上義務化されました。基礎や地盤に関わる主な法令を下記に示します。
●建築基準法施行令第38条(基礎) 『建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない』 |
●建築基準法施行令第93条(地盤及び基礎ぐい) 『地盤の許容応力度(地盤の強度のこと)及び基礎ぐいの許容応力度は、国土交通大臣が定める方法によって、地盤調査を行い、その結果に基づいて定めなければならない。』 |
また、新築住宅を供給する住宅事業者は、2000年4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、住宅の構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分の設計ミスや施工ミスによる欠陥(瑕疵)に関して、10年間の保証責任(瑕疵担保責任)を負っています。しかし、住宅事業者が倒産等によって修理等ができなくなった場合、住宅取得者は、自ら修理を行うか、建て替えを行わざるを得ないなど多額の負担が生じることになってしまいます。
このため、住宅取得者の利益の保護を図ることを目的に、2007年3月「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」(住宅瑕疵担保履行法)が成立し、2009年10月以降、住宅事業者は、住宅瑕疵担保責任保険への加入などにより住宅取得者の負担にならないように法改正されました。
これをきっかけに住宅事業者は、地盤調査を行い不同沈下させないよう基礎設計をおこなうようになりました。万が一地盤調査をせず建物を建ててしまった場合、住宅が傾く、資産価値が減少する、そして住宅事業者が住宅瑕疵担保責任保険に加入できないなどの問題する可能性があります。
地盤調査の方法
建物を建てるにあたって必要な地盤調査ですが、方法はひとつではありません。地盤の強度を調べる際に用いられる主な地盤調査の方法は、国交省告示1113号 第1に記載されている10項目の中から選定する必要があります。
代表的な地盤調査方法としては、以下の通りです。
【表面波探査法】
表面波探査法とは、地表の表面付近を伝播する表面波の波長ごとの伝搬速度を解析し、地盤のS波速度の分布状況を測定する調査方法です。特殊な振動機を使って地盤に振動を伝えて、その伝わり方を検出器が判定します。
調査深度は10m、調査計測範囲としては1~1.5m程度の計測を4隅と中央で行うことで地盤を面的に捉えることができます。面で接するベタ基礎に対しての地盤強度を計測するのに最適な地盤調査方法です。また、将来的に建物がどの程度傾いてしまうか予測沈下量を数値化することが最大のメリットです。面的に調査を行うことで過剰に弱い数値にならず、予想沈下量の把握により地盤改良工事判定になりづらい地盤調査方法です。
また、地面がアスファルトや砂利の場合や、地盤改良後の強度確認の計測もおこなうことが出来ます。半日程度で作業は終了します。
但し、地盤の固さがわかるのは深度10m程度と振動が伝わる範囲には限界があるため、より深い地盤の調査をする際はほかの方法を検討しなければならない点がデメリットです。
【スクリューウエイト貫入試験】
スクリューウエイト貫入試験は、地表面からおおむね深度10mまでの軟弱層の土の硬軟、および締まり具合などを判別するための抵抗値を求めます。
敷地の四隅と中央に3.3cmのロッドを突き刺し、必要な時は回転を加えて地盤に貫入させて25cmずつの地盤の強度を表します。比較的安価であり、調査を行える調査会社も多く、地盤改良工事の設計もしやすい調査方法のため一般的使われています。しかし、調査範囲が3.3cm×5箇所と狭い範囲での調査となり得られる情報量が少ないこと、住宅建築に必要な予想沈下量を把握することが苦手な調査方法となり、安全側に地盤を判断せざるを得ないことがデメリットになります。
【ボーリング調査】
ボーリング調査とは、穴を掘って地盤の状況や地層境界の深度などを調べる、歴史の長い地盤調査方法です。古くは炭鉱での調査に用いられており、近代ではマンションやビルの建築の際に利用されます。
調査方法は、地面に円筒形状の孔をあけ、そこから深さ1mごとに標準貫入試験を実施し、N値という強度の計測をします。ボーリング調査に使用するハンマーの重さ、および落下させる高さなどは細かく定められており、必ず守らなければなりません。
一般的な地盤調査方法であるスクリューウエイト貫入試験よりも硬い地盤の調査や、深度10 m以上の調査ができる点がメリットです。また、調査の際に土のサンプルも回収するため、地盤や土質の詳細な情報も調べられます。
一方で、ボーリング調査を実施するためには広い作業スペースが必要なため、狭い土地の作業には向きません。そのほかにも、建物があると調査できない、調査時の機械音や打撃音が大きいため周辺住民に迷惑がかかってしまう、調査期間が長いなどのデメリットがあります。また、情報量が多く有用なのですが、大がかりな調査方法のため費用も高額でビルやマンションなど大規模な建物の地盤調査として用いられることが多いです。
地盤調査にかかる費用
地盤調査にかかる費用は、どの調査方法を選択するかによって異なります。
これまでに紹介した3つの調査方法のなかで、最も安価なのはスクリューウエイト貫入試験です。相場は5〜10万円程度で、仕事を依頼するハウスメーカーや住宅会社によっては、地盤調査費用の一部、またはすべてを建築代金から引いてくれる場合もあります。
スクリューウエイト貫入試験の次に調査費用が安価なのは、表面波探査法です。相場は6〜12万円程度となります。
最も調査費用がかかるのは、ボーリング調査です。20~30万円が相場となります。また、調査深度が深くなるほど費用が嵩むこともあります。
地盤調査会社の選び方
精度の高い地盤調査を行うためには、依頼する会社選びが大切です。依頼先の選択基準はさまざまですが、主に以下のポイントを押さえているか確認しましょう。
地盤調査専門の会社か
地盤調査を依頼する前に、その会社が地盤調査専門の会社かどうか確認しましょう。地盤調査はさまざまな会社によって実施されています。
住宅建築の場合、地盤について第三者の目で判断することができる地盤調査会社の選定が必要となります。
以下にもあるように地盤に対する十分な知識や経験、そして、何よりも重要なことが地盤調査を専門で行っている会社となります。
簡便な調査方法の場合、地盤調査と地盤改良工事を兼務する会社が多く存在します。中には高額な地盤改良工事を行いたいが故に、地盤改良工事寄りの調査結果を提出するということが蔓延しています。地盤調査費だけでなく、地盤改良費でも売り上げを上げたいと思う地盤調査会社も存在しています。そのような地盤調査会社は避けたいところです。
数は少ないですが、地盤改良工事を行わない地盤調査専門の会社があります。そのような地盤調査会社は、公平な目線で地盤の判定を行うため、無駄な地盤改良工事が無くなります。
何を強みとしているか
地盤調査会社が何を強みとしているかも、あらかじめ確認しておきましょう。たとえば、地盤調査から地盤改良工事、地盤保証までワンストップで提供している会社もあれば、不同沈下させず、無駄な地盤改良工事判定を出さない丁寧な仕事を強みにしている会社もあります。
それでも会社選びに悩む場合は、自分が地盤調査にどのような仕事を求めているのか事前に明確にしておくとよいでしょう。
実績は豊富か
地盤調査会社を探すにあたって、必ず会社の実績も重視してください。実績がある会社は、豊富な経験と多くのノウハウを持っているため、信頼性の高い調査を実施してくれます。
地盤調査をしている最中は、さまざまな想定外のトラブルが発生するものです。もし地盤調査を依頼した会社の経験が浅い場合、トラブルのたびに調査が中断してしまいます。調査が中断すれば、住宅建築のスケジュールに遅れが生じてしまうでしょう。
経験豊富な会社であれば、トラブルが発生しても都度適切な対応をしてくれます。保証制度も明確にしてくれているなら、なおよいでしょう。
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まとめ
以上、地盤調査の必要性、および主な調査方法とそれぞれの調査費用について取り上げてきました。地盤調査は建築基準法において、安全な住宅を建てるためにも実施が事実上義務付けられています。調査方法は複数あるため、そのなかから自分の予算、目的に適したものを選択しましょう。
地盤調査の結果によっては地盤改良工事が必要なケースがあります。しかし、なかには地盤改良が必要ないにも関わらず、調査方法の性質上過剰に軟弱と判断されてしまい、本当は必要のない地盤改良が必要と判断されてしまう場合も珍しくありません。調査内容に疑問を持った人は、別の地盤調査も検討してみましょう。
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