2016年熊本地震が発生してから8年が経過しました。
ニュースなどでも取り上げられましたが、能登半島地震や台湾の地震の影響か、扱いは比較的小さなものでした。
インフラの復旧がほぼ終わっていることなどが報じられていましたが、地震で倒壊した住宅の再建のめどが立たない人も残されています。
さて、熊本地震では273名の尊い命が失われていますが、このうち、地震の揺れなどで直接亡くなった方は50名で、災害関連死が218名(80%)、豪雨による二次災害死が5名となっています。
どうしても、災害関連死の多さに目が行ってしまいます。
2011年の東日本大震災では、死者行方不明者が約2万名でしたが、災害関連死は3794名(19%)とされています。
熊本地震における災害関連死がいかに大きな数字であるか、お判りいただけると思います。
このような状況が発生した原因について、熊本県では災害関連死に至った主な原因を「高齢者等のよう配慮者の方が、避難所など慣れない環境の中で長期間の避難生活を強いられたことによる肉体的・精神的負担が考えられる」としています。
このことも考慮した対策として、能登半島地震では二次避難先として宿泊施設などが利用されています。
二次避難先として宿泊施設を利用する条件の一例として、「特別な配慮を要する方の避難を受け入れるために開設する避難所」としている場合と、「住宅が損壊するなどして自宅に住むことができない被災者が避難する場所」とする場合が存在し、適用される方の選定に時間がかかったとされています。
そのため、東日本大震災ではある程度運用されていたものが、熊本地震では有機的には運用されず、能登半島地震では運用開始までに時間がかかりました。
結果的に車中泊など、家には戻れず、避難所には入れずという状態が続いたことによって、災害関連死が増えてしまった可能性があります。
地域ごとに策定されている地域防災計画や、事業継続計画で二次避難についての運用を統一化して、住民に周知徹底するなどのことが実施されないと、大きな地震が発生した際には熊本地震や能登半島地震などと同じ問題が発生して、対応が遅いなどの批判を受けるとこになります。
自治体が考えている避難所の収容人数は、自治体に住民登録している人たちの半分も利用できない地域もあります。 また、垂直避難を促すような洪水等の災害時にも平屋である体育館が避難所として指定されているなどの問題があり、自治体に期待しすぎないように準備を整えておく必要性があります。
基本的に自治体は、被災時に自宅避難を推奨しており、避難所においての収容人数、非常用備蓄の量ともに地区住民の数を満たすには大きく不足しています。
大量の備蓄を用意して、全住民が避難できるスペースを確保することができない以上、自治体としては災害に各家庭で備えて、十分な備蓄をしておくことを推奨しているのです。
ただ、ここでも問題になるのは、自治体がそのことを市民に対してPRしていないことです。
このことが周知徹底されていれば、非常時に騒ぎになることは少ないと思いますが、実際にこのことを知っているのは自治体の防災担当者だけ、ではどうにもなりません。
熊本地震や能登半島地震で、このことを初めて知らされた住民はどう思ったでしょうか。
熊本地震の際は、被害のひどかったエリアを抜けると、被害の少なかった自治体が存在し、被災後数日経過したときには、そちらへ向かうことも可能でした。
能登半島地震の際には、道路などの遮断でどこにも行けないくなってしまい、被災後数日間は自分たちで何とかするしかなかったのです。
今後、発生が予想されている大地震について、東日本大震災のように被災エリアが広すぎて、外延部から被災中央部へと徐々に支援が進んでいくような形になるのか、熊本地震のような形になるのか、能登半島地震のようになるのか、それとも別の形になるのかは災害が発生してみないとわかりません。
このため、以下の5項目について準備をしておいてほしいと思います。
1)できる限りの水分と食事の補給(トイレ対策)
2)エコノミー症候群対策(少しでも体を動かす)
3)感染症対策と口腔ケア
4)ストレスのケア
5)服薬の継続(処方薬を備蓄)
以上のことについてあらかじめ準備しておいて欲しいと思います。
これは避難ができた場合でも、避難できなかった場合でも確実に必要になるものですから、あらかじめ準備しておいても無駄にはなりません。
実際の現場において教訓として得られたことです。準備しておいて無駄になることではありませんので、いざというときに慌てないためにもよろしくお願いいたします。
*文中の数字などは、以下のサイトより引用させていただきました。