皆様は上の図をご存じでしょうか? 文科省管轄の地震調査研究推進本部が、毎年のように公表している今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示したものです(評価基準日2020年1月1日)。
図 主要活断層の評価結果
図 主な海溝型地震の評価結果
ここまでに掲載した図は、地震調査研究推進本部から公表されている地震に関する評価のページから引用したものです。
表紙に用いた図は、2020年1月1日を起点として30年以内に震度6弱以上の地震に見舞われる確率で、主要活断層と海溝型地震については2023年1月1日を起点とした30年確率で色分けされています。
この確率は、統計的に評価した数字であって、あくまでも参考値にすぎないことに注意しておく必要があります。
先に示した図に記載されている確率については、現在までに確認されている活断層と海溝型地震が主になっており、一般的に知られている地震の震源地が根拠になっています。
しかしながら、実際には現状で確認されていない活断層等があることを国も認めています。
こうした地震の巣は、列島周辺には二千程度あるものと考えられています。地震の巣が活動したことによって生じる地震活動が含まれていませんし、活火山の活動による火山性地震動についても含まれていません。
このため、あくまでも一つの指標として考えることをお勧めすると同時に、確率が低いからと安心することの無いようにお願いしたいと思います。
事例として2016年の熊本地震を取り上げてみます。この地震の発生確率は、算定基準日2015年1月1日の数値で30年間に発生する確率はほぼ0~0.9%でした(布田川断層帯布田川区間の数字)。
いつ発生してもおかしくない、と言われ続けて発生することなく数十年が経過している東海地震が良い比較事例になると思います(現南海トラフの地震)。
現在公表されているような地震発生確率は、あくまでも指針であって、いつ発生してもおかしくないから備えておきましょう、という意味合いが強く感じ取れるかと思います。
少し話を膨らませます。
皆さんの多くは緊急地震速報の警報音を聞いたことがあると思います。
緊急地震速報は、地震観測網で観測されt地震から、震度5以上になる可能性があるエリアに配信されます。
皆様が今いる場所から遠くで地震が発生した場合は、心構えをしたり、何かにつかまる、箪笥や食器棚などから離れることができるかもしれません。しかし、震源が近いとその余裕は無くなります。
例えば、2023年5月5日に発生した最大震度6強の能登地方の地震の際、緊急地震速報が発表されてから揺れが到達するまでの時間は0秒でした(先の図によれば震度6弱以上の地震の30年確率は0.1~3%という評価になります)。
おそらく、皆様が地震発生確率を見たときに0.1~3%という数字を見たとき、まあ地震は来ないだろうな、と感じないでしょうか。
緊急地震速報が発表された時点で揺れ始めている状況では、揺れている間は何もできないと考えたほうが良いのです。
揺れている間は身を守ることに努め、揺れが収まってから行動を開始することを考えるようにしてください。
こうしたことについて知っておくことで、地震に備えておく必要性を皆様が感じてくださり、地震発生時の混乱を少しでも抑えることが出たのなら、これに過ぎたる喜びはありません。