1923年9月1日の11時58分、関東地方をM7.9の地震が襲いました。
この地震の震源が陸から近い相模湾内の相模トラフだったために、地震終了から津波到達までの時間的余裕が5分程度しかない場所もあり、多くの被害が出ました。
また、揺れによる被害も神奈川県で特に多く、家屋の全壊数も多数発生し、山崩れの発生などもあって、根府川付近において大きな被害が出ています。
*参考資料 鹿島建設 「関東大震災を知る」
https://www.kajima.co.jp/…/sep_2003/tokushu/toku01.htm
被害の総数は神奈川よりも東京のほうが多くなっています。その原因となったのは、火災です。
当時、日本海側(9月1日午前6時に能登半島付近)に台風があり、この影響で関東地方でも強風が吹いていたことが東京での火災を拡大しました。
関東大震災における犠牲者のうち、およそ9割が火災による犠牲者という大きな被害を出すことになりました。
*参考資料 「関東大震災映像デジタルアーカイブ」
https://kantodaishinsai.filmarchives.jp/
関東大震災当時の映像が残されています。火災が発生しているのに、逃げようとしない人々の姿などが残されています。大八車で家財道具を持っているために道路が混雑していて動けなかったのか、火が迫っていることに危機感を持っていなかったのかは不明ですが、こうしたことが被害が拡大する一因になったのではないかと想定されています。
関東大震災は、地震そのものによる被害も大きかったのですが、それに伴う連鎖反応で発生した災害が大きな被害をもたらしています。
副次的な災害ではありますが、大きな地震が発生した場合、連鎖的に発生することが予想されるものが多いので防災の仕組みの中に組み込んでおく必要性があるものと感じられます。
関東大震災クラスの地震が今すぐ発生するような傾向がみられるわけではありませんが、大正関東地震が発生してから、すでに百年が経過しようとしています。
人の間隔では百年は長い時間ですが、地球にとってはごく一瞬のような感覚であり、誤差範囲にすぎません。
今すぐ関東大震災級の地震が発生する可能性は低いと思いますが、一回り小さいM7クラスの地震が発生した際に、それに近い規模の地震が誘発される可能性までは否定できません。
関東地方においては、明確に把握されている活断層に加えて、把握されていない活断層が複数存在することが確実視されています。そうした伏在的な震源が活動した場合、どこで地震が発生するのかわからなくなります。このため、M6クラスの直下型地震はどこでも発生しうるとされています。
特に千葉県北西部や茨城県南西部などは、地震の巣と呼ばれるような小規模地震が多発している場所があり、こうした場所を震源とした被害地震は、過去にも発生しています。
そして、こうした規模の小さな地震でも都市直下で発生すれば、大きな被害が生じる可能性はあるのです。
表題を関東大震災としましたが、特定の都市名がつけられる〇〇大震災は、いつ発生しても不思議ではありません。
地域ぐるみでの備えが行われて、地震による被害の低減を実現することができるよう、願ってやみません。