地質年代の区分に第四紀という最も新しい年代があり、その中で沖積層とは、約18000年前以降に堆積した現在までの地層を指します。一方、これより以前に堆積した地層は洪積層といいます。
関東平野をはじめとする平野部には、広くこの沖積層が分布しているため、沖積層は人間の生活に最も身近な地盤と言えるでしょう。しかし、最終氷期以降の海水準変動の影響のため、沖積層を構成する地層は一様ではありません。
特に、シルトや泥の層は地盤沈下を引き起こしやすく、沖積層の上に建造物をつくる場合には、地盤強度を確かめる必要があります。
ただ、沖積層の下にある洪積層までの深さは場所によって異なり、三浦半島や房総半島南部などでは沖積層の厚さが薄くなるため、洪積層が地表面付近から見られる場所があります。
また、第四紀よりも古い地層である第三紀層なども存在しており、山間部などではこうした地層が露出している崖地などもあります。
こうした来歴の異なる素材が混在していることが、地盤というものの難しさを示しています。
場所によって地盤の特性や能力が異なるため、利用できることも変わり、様々な工事の障害となるようなものも存在しています。
それが把握されないと、実際に工事を施工した際に障害となって工事の妨げとなったり、工法の変更を余儀なくされたり、工事そのものを中止せざるを得なくなることすらあります。
地盤は目に見えないものです。このため、地表が平らであっても内部が平らであるとは限らないなど、様々な事柄が存在します。
そして、さらに地盤を複雑にしているのは、人の手が入っている場所が多くある、このことです。
東京を例に挙げると、
現在の日比谷は海岸沿いの入江だったとか、
その入江の埋め立てに多くの土を使われたから駿河台周辺の標高が随分と低くなったとか、
港区にある溜池という地名は本当に大きな池があったとか、
佃島は独立した島だったのに周囲が埋め立てられて陸続きになったとか、
江戸城と城下町を形成するために多くの掘割と運河が作られたとか、
江戸時代より後に掘割や運河のいくつかは埋め立てられて平地になったとか、
数えられないほどの地形変更が行われています。
このため、現在では地上から見た際に単なる平地に見えても、地盤の強度を含めた中身は大きく異なっている可能性があるのです、このことについても知っておいて欲しいと思います。
*イラストおよび本文については、産総研HPの「地盤と土壌」ページより引用、また加筆修正した文章を掲載しています。