地盤地震学会

大阪市西成区での住宅崩落

6月25日に大阪市の西成区で法面が崩落し、法面上に建っていた住宅2棟が崩落してしまいました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fffa274cb964cc578cb63f916b6dbeef2432939e
ニュースや新聞で大きく取り上げられていたので、すでにこの件は皆さんご存知だと思います。

この住宅を支えていたのは石積み擁壁と呼ばれるもので、地盤の良い場所では古くから利用されている方法です。
わかりやすく例えると、お城で良く見る石垣と同様です。

こうした石垣は、かなり緻密にしっかりとお城や土を支えることを考えて形作られています。

しかし、西成区で崩落したような石積み擁壁は、地盤が固いためコンクリートの擁壁を使わなくても大丈夫というような考えで採用された可能性があります。

現時点では、崩落しかかっている住宅の対策が優先されていたため、石積み擁壁と地盤が崩落してしまった原因は、明瞭になっていません。

7月6日には崩落しかかっていた住宅についても撤去されました。
今後、天候の状況を見ながら地盤についての検討が行われて、原因の解明と今後の対策が決まっていくことになります。

今のところ、どうしてこうなったのかについて、いろいろな意見が新聞等には掲載されていますが、実際に現地で詳細な調査が行われたものではありません。
このため、大阪市などが専門家と調査を実施するまでは、この件について意見を述べることは控えます。

このようなことは、今後も発生する可能性がありますので、地盤については十分に注意をするようにしておいてください。
駅から近い、高台にある、近隣に便利な施設が多い、などの条件だけで土地の購入を決めるのではなく、地盤がどうなっているのか、過去の災害履歴はどうか、ということについて調べてから決める、ということを心がけるようにしてください。

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