地盤学会

東京都北区にある貝塚

東京都にある貝塚として有名なものはいくつかありますが、筆者が学生の頃、教科書に載っていたのは大森貝塚です。

このため、大森貝塚といえば東京を代表する貝塚であると考えていました。

大森といえば、大森海岸駅があるように海に近いので貝塚があっても納得できましたが、海からはだいぶ離れた北区にも中里貝塚

をはじめ複数の貝塚が存在しています。

これは縄文海進と呼ばれる海岸線が今よりもだいぶ内陸側にあった時期があり、その際、現在のJR線付近が海陸境界付近であった

とされています。このため砂州であったとされる田端操車場跡地に貝塚があってもおかしくはありません。

上図は、中里貝塚の位置と縄文海進時の海岸線を示しています。ちょうど海岸線付近に貝塚が位置していることがわかります。

じつは、この海岸線の位置を地形が顕著に表しています。

JR京浜東北線を挟んで東側は標高が低く、西側は標高が高くなっています。

これは京浜東北線に乗って、上野あたりから赤羽付近までの間で車窓を東西で見比べてもらえればわかります。

場所によっては標高差が20m程度もありますので、目視でも十分見分けがつきます。

京浜東北線で通りかかった際にでも見比べていただいて、地形やその地盤の生い立ちに興味を持っていただければと思います。

今回もお付き合いいただきましてありがとうございました。またのご来訪、お待ちしております。

*冒頭の写真は東京都北区のサイト、地図は東京都地質調査業協会技術ノートNo26よりそれぞれ引用させていただきました。

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