表紙に用いた写真は、神奈川県の城ケ島で撮影したものです。
水平方向にいくつもの成層構造が存在することが判ると思います。
成層構造というと難しいので、横方向に筋が複数入っていて、その筋によっては色が異なっていることがわかります。これは地層が長い年月をかけて堆積してきた証のようなものです。
また、海食と呼ばれる海の力によって平行に形作られてきた地層は、その形状が変化しています。
このことに加えて、1923年に発生した大正関東地震によって地層がおよそ1.5m隆起したため、明治時代以前には海中にあった地層が地上に出ています。
有名な馬の背同門は、大正関東地震まで、満潮時に小舟で通り抜けられたということですが、今では写真のように完全に陸上に存在しています。
城ケ島は約1000万年前から400万年前に堆積した三浦層群と呼ばれる地層を主体に構成されていて、時間が経過した今では硬い岩盤になっています。写真では写っていませんが、関東ローム層と呼ばれる地層が三浦層群の上に堆積して、この関東ロームとさらに新しく堆積した表土の部分に草木が存在しています。
ただ、写真にあるような急峻な地形や海に近い場所では、関東ローム層の元となった火山灰などが運ばれてきたときに、海底に沈んでいたり、雨水や海水に流されたりして堆積することはありませんでした。そのため、現在も古い時代に形成された地層が地表面に存在し、そこを歩くことができますし、触ることも出来ます。
そして、断層存在や複雑な火炎構造や斜交葉理と呼ばれる特殊な堆積構造がみられることと出かけやすい場所であることから、地質を学ぶ人たちが多く訪れていることでも有名です。
グーグルマップを使って上空から見たり、実際に足を運んでみた時には緑の木々を目を見にすると思いますが、海沿いは結構岩だらけの場所です。もし、お出かけになった際には、そんなことを気にしながら見ていただけると、これまでとは違った城ケ島が見えてくるのではないでしょうか。
前回、次回は沖積層について触れますと言っておきながら、それよりも古い地層についての話をしてしまいました。お詫び申し上げます。