地盤、という言葉があります。
地下の構成まで含めた広い意味で地面のことを示している、と考えて戴ければよいと思います。
もっとも、選挙の際に「○○県はAさんの地盤だから強いよね」などと支持基盤を比喩的に示す使い方が多い様にも思われます。
まあ、実際に我々の生活を支えてくれているので、まるで異なる意味で使われてるわけではないと思いますが、地盤に係る者としては少し寂しい気もします。
本題に戻ります。
地盤は様々な材料で構成されており、その大半は自然に形成された自然地盤です。これに対して、埋立や造成によって人の手が入った地盤のことを人工地盤と呼びます。
自然が作っても人間が作っても大して変わりがない、とお考えになる方もいらっしゃると思いますが、この両者には大きな差が存在します。
人間が作った地盤は、形作られてから古くて数百年。新しいものでは1年経過していないものもあります。
これに対して自然地盤は、数千年から数億年の単位まで時間が経過しています。
そして地盤は、堆積(造成)されてから、時間が経過するごとに落ち着いてくることになります。
堆積(造成)されたばかりの時は、粒子(地盤を構成する細かい土砂)が水で流されてきたり、風に運ばれてきたり、人によって運ばれてきましたが、そのときは粒子同士がばらばらの状態になっています。
ここに風の力や雨滴、動物が通行することによって加わる圧力が加わり、長い時間をかけて地盤として締め固められて安定します。
自然地盤の中にも堆積してからの経過年数が浅く、十分には締め固まっていないものがあります。こうした経過年数が浅いものとして、工事を行う際に注意が必要とされているのが、俗に沖積層と呼ばれる地盤です。
この沖積層は、堆積してからおおよそ1万年以内の地盤で、最も若い地盤として広い範囲で地表面付近に存在しています。
建物を建てる時など工事を行う際に、十分な硬さがなくて悩みの種になることがある地盤です。
次回は、この沖積層と呼ばれる地盤について話しをしたいと考えています。
つづく