腐植土とは?建物を建てる際の注意点とやるべきこと

建物を建てる時は、あらかじめ地盤調査を行うことが一般的です。軟弱と判断された場合は、地盤対策が必要になります。そもそも、軟弱地盤とはどういったものか、そしてどのような対策ができるのかを解説します。

建物を建てる際、事前に地盤の状態を把握するために地盤調査が必要です。仮に、地盤が軟弱地盤であることが判明した場合は、地盤を補強するなどの対策を講じる必要があります。
とはいえ、具体的にどのような地盤が軟弱地盤と呼ばれ、軟弱地盤を有する土地を活用する場合は、どのようなことに注意しなければならないか知らない方も多いでしょう。
そこで、軟弱地盤の一例として腐植土の特徴や、建物を建てる際の注意点を解説します。

「腐植土」とは、動物の死骸や枯れ葉などの植物を地中の微生物が分解することで生じる「腐植物」により形成された土壌のことです。腐植土は多数の微生物の働きによって土壌内部の隙間が多い構造になっており、その体積は土壌に含まれている腐植物本来の体積の3倍以上にもなります。
そのため、腐植土はスポンジのような収縮性を有したフカフカの土壌であり、外から力が加わると激しく収縮するといった特徴があります。
山林など落葉が枯れて土と同化している状態とイメージしてください。

腐植土の特徴
腐植土は、上記のとおり動物の死骸や落ち葉などの植物を微生物が分解してできた土壌であるため「保肥性」という特徴を有しています。さらに、腐植土は「有機物質の吸着」と「pHの変化の緩和」という特徴も兼ね備えています。
「有機物質の吸着」とは、土に含まれる「銅」など植物にとって有害となる物質を吸着することです。有機物質を吸着することで、植物が銅をはじめとする有害物質を吸収することを防ぐ効果があります。
「pH濃度の変化の緩和」とは、植物が吐き出すpHによる土壌内のpH濃度の変化を緩やかにすることです。腐植土には、植物が吐き出すpHを取り込んで吐き出す作用があるため、土壌内にpHが大量に蓄積されることを防ぎます。

栽培土壌には最適
このように、腐植土はスポンジのような性質を持ったフカフカの土壌であり、保肥性、有害物資の吸着、pHの変化の緩和という特徴も有しています。
そして、腐植土が有するこれらの性質や特徴はいずれも植物の成長にとって非常に有効なものであり、腐植土は植物の栽培に非常に適した土壌なのです。
腐植土は植物の栽培に非常に適した土壌です。しかし、腐植土が含まれている土地は注意が必要です。山間の別荘地などには腐植土が多く存在することがありあります。建物を建てるなど、土地を活用する際にはいくつか注意が必要となるポイントがあります。

地盤強度は軟弱
腐植土は隙間が多くスポンジのような性質を有しているため、その土壌内に多くの空気と水分を含んでいます。
そして、荷重などによって腐植土に外から力が加わることで、その中に含まれていた大量の空気と水分が抜けてしまいます。空気と水分が抜けることで腐植土は大きく収縮してしまうため、腐植土を含む土地は軟弱地盤とされています。

不同沈下の原因になる
上記のとおり、腐植土を含む土地は荷重により大きく収縮するため軟弱地盤となりますが、この性質は土地の不同沈下の原因になります。
「不同沈下」とは、土地の上に建てられた建物全体が均一に沈下するのではなく、一方向に斜めに傾くように不揃いに沈下する状態のことです。
腐植土を含む土地の上に建物を建てるということは、スポンジの上に建物が載るとことと同じです。非常に不安定であることがイメージできると思います。圧縮性のある腐植土は建物の重さを支えることが出来ずに不同沈下につながる危険性があります。

セメント系固化材が固まりにくい
さらに、腐植土を含む土地はセメント系固化材が固まりにくくなります。セメント系固化材はアルカリ反応によって固化しますが、腐植土の地質は酸性です。
そして、腐植土内にアルカリ系固化材が流し込まれると中和反応が起きるため、アルカリ反応が抑止されて固化不良が生じることでセメント系固化材が固まりにくくなります。
この性質が問題となるのが、軟弱地盤の土地を改良するために行う地盤補強工事です。地盤補強工事にはいくつか種類があり、その中のひとつである「柱状地盤改良工法」は現地の土とセメント系固化材を混合して、地盤内に柱を形成する方法です。
腐植土を含む土地では、セメント系固化材が固まりにくくなるため、固化不良など本来の効果が発揮できない恐れがあり、不同沈下事故の原因となります。
しかし、腐植土層下部までの地盤対策を行うことで、不同沈下の防ぐ対策は行えます。このような特殊土の場合は、地盤対策の方法を間違えないことが不同沈下事故を防ぐには重要なこととなります。
このように、軟弱地盤である腐植土を含む土地を利用する場合にはいくつかの注意点があります。そして、利用予定の土地が軟弱地盤にあたるかどうかを調べるための方法が「地盤調査」です。

地盤調査とは
「地盤調査」とは、建物建築予定の土地について地盤の状態を確認するためのものであり、建物の建築前に行います。
この地盤調査を行わない限り、土地の地盤が強固なものか軟弱なものかは分かりません。軟弱地盤の土地の上に何も対策を講じないまま建物を建てたり、不適切な地盤補強工事をしたりしてしまうと、地盤沈下や不同沈下を起こす危険性があります。
さまざまなリスクや危険性を回避し、安全性の高い建物を建てるために、建物が地震等に耐える力である「構造耐力」を工事前に計算する「構造計算」が必要です。
また、地盤の状態によっては地盤補強工事が必要になることもあります。そして、詳細な構造計算や地盤補強工事の必要性と最適な方法を検討するために、土地に適した方法による地盤調査を行い、地盤の状態を正確に把握することが重要です。
土地に適した方法による地盤調査をすることは、安心して土地活用をするためには非常に重要なものです。そして、地盤調査の方法にはいくつか種類があります。

表面波探査法
「表面波探査法」とは、土地上に起振機という振動を発生させる装置と、振動を検知するための2つの検出器を設置し、起振機から発生した振動が2つの検出器の間に到達する速度を計測して地盤を調査する方法です。
振動が2つの検出器の間に到達する速度が速いほど硬くて、良好な地盤であるといえます。一方、速度が遅いほど、柔らかく軟弱な地盤だとわかります。

SWS試験
「SWS試験」とは、先端がスクリュー状になったロッドにおもりをつけて回転させながら土地に貫入させ、ロッドの回転数やおもりの重量によって地盤を調査する方法です。
ロッドの回転数が多く、かつおもりの重量が重いほど硬くて良好な地盤であり、回転数が少なくおもりの重量だけでロッドが自沈したような場合は軟弱な地盤だとわかります。

的確な地盤判定をしてくれる業者を選ぶ
これまで見てきたように、腐植土を含む軟弱地盤の土地の上に建物を建てると、その性質上不同沈下を引き起こす可能性があります。
また、軟弱地盤の土地を改良するために地盤補強工事が必要になる場合もありますが、土地に有効な地盤補強工事を選択する必要があります。安心して土地を活用するには、土地に適した地盤調査を行い、土地の地盤の状態を正確に把握することが必要不可欠です。
しかし、地盤調査の方法は複数あるため、どの方法が土地に適しているかをしっかりと検討しなくてはいけません。そのための第一歩として、まずは活用予定の土地を含む周辺地域の地盤の状態について事前に地盤調査会社に相談し、情報収集から初めてみるのがいいでしょう。

日本全国で年間5,000棟以上の調査実績がある弊社なら、豊富な経験に基づき的確にアドバイス致します。

地盤調査は土地に応じて異なる調査方法があります。こちらの記事では地盤調査方法をまとめているので、あわせてご覧ください。

まとめ
ここまで、腐植土を含む土地を軟弱地盤の例として、その性質や軟弱地盤の土地を利用するにあたっての注意点、地盤調査の概要などについて解説してきました。活用予定の土地が軟弱地盤であった場合、一切の対策をしなかったり、不適切な方法を選んだりしてしまうと、経年や自身などの災害の影響で、不同沈下や地盤沈下が生じる可能性があります。
安心して土地を活用するために、信頼のおける地盤調査会社に地盤調査をお願いするといいでしょう。なお、豊富な調査実績と経験をもつビイック株式会社であれば、土地に適した地盤調査方法を提案できます。土地活用を検討されている方は、ぜひご相談ください。