公開されているハザードマップの中で、洪水浸水想定区域の見直しが行われています。
これまで公開されていた洪水浸水想定区域は、降雨による増水によって洪水の発生を想定したものです。
しかし、実際には大雨によって流された流木などが橋梁などに絡まって水の流れをせき止め、河川から水があふれ洪水が発生することが増えています。
こうした、降雨により副次的に生じた現象で河川が氾濫する可能性があるため見直されています。
以下の記事は、山形県飯豊町での状況を示したもので、22年8月の大雨によって生じた被害を報告するものです。橋梁の橋台に大量の木材などが引っかかったことによって、河川の流れが変わり、氾濫の一因となり、落橋という事態が生じることになりました。
こうした事態を受けて、洪水浸水想定区域の見直しが行われるようになりました。
この見直しによって、これまで洪水浸水想定区域とはされてこなかった場所が含まれることになり、抜本的な対策を練り直す必要が生じてくることになります。
一例をあげると、山形県では、これまで県が管理する554の河川のうち、70河川で「洪水浸水想定区域」を指定していましたが、残りの484河川についても2025年までに区域指定することが決められたのです。
このことは単純に洪水を起こす可能性のある河川が増えた、ということではすまない問題です。
避難する人数が大幅に増えることになり、避難所の不足対応やこれまで以上の避難経路の確保、避難困難者の把握と支援準備、防災用品の備蓄確保などが必要になるからです。
自助・共助・公助の順に適用される話であっても、高齢化と核家族化が進んで、高齢者の多くなった現状では、避難を呼びかけた際に緊急用の持ち出し袋などの準備がなされている割合は低いことが予想され、最低限しか用意されていない避難所の物資ではすぐに不足することが目に見えています。
そして、大雨による災害の怖いところは、何日間雨が降り続けるのか、誰にも分っていないことです。
通常であれば、すぐに止む場合も多いわけですが、線状降水帯が連続的に発生するなどの事象が生じた場合には、とてもすぐに止むことは望めなくなります。
過去にそんなことは発生したことがないと、思われる方もいるかもしれませんが、局地的にですが実際には発生して大きな被害をもたらした事例があります。
多くの自治体で、浸水予想深さが3m程度未満の場合、2階へ避難すれば大丈夫であるとしていますが、これも希望的観測にすぎません。雨が降り続いた場合には排水処理が間に合わず、水がより増えることになります。
避難所となっている場所の多くは小・中学校です。3階建又は4階建ての高さを有していますが、たいていの場合、指定避難所は体育館です。ここは十分な高さを保有していません。
このため、今回の洪水浸水想定区域の見直しが実施される場合、避難所についても大幅に見直されることになると考えられます。
今後のハザードマップ改定や、避難所の追加変更などの情報には十分なご注意をお願いいたします。