別に某社の宣伝をするつもりはありませんが、斜面における土砂災害についてまとめた技術者向けの専門書があります。
専門家であっても、こうした事例集などのノウハウが詰まった資料で学ぶ必要があるのが地盤というものになります。
この本には、土砂災害が発生する条件や状況がどの様に重なったときに事故が起きたのか、実例と対処方法などが取り上げられています。
斜面における土砂災害は、過去に災害が発生した際と同じ状況が発生した時でも、土砂災害の発生については専門家であっても予測が難しいことがあるのです。
何故、そのように難しくなるのかといえば、同じ岩盤であったとしても、その形成の状況や組成などによって性質が変わることがあること、近隣に存在していても経験してきた自然状況が全く同じではない可能性があること、などがあります。
こうしたことは、常時観測していたとしても地盤内部の変化について詳細に確認をしているわけではありませんから、何かあった場合にしか確認できないのが現状です。
このため、地盤災害に関しては局地的な緊急警報みたいなものを出すことが難しくなります。
地盤に変化がないかを常時計測するものとして、地表面では地表面伸縮計、地盤傾斜計、法面崩壊検知システムがあります。
また、地中の情報を得るものとしては、パイプひずみ計、挿入式傾斜計などがあり、地下水については間隙水圧計などがあります。
こうした機材は、1か所設置すればすべて確認できるというわけではなく、把握すべき範囲の面積に応じて複数配備する必要が生じます。
これらの機器の設置には費用が掛かるために、日本全国の危険個所すべてに設置できるわけではありません。
このため、何かが発生した時に被害を受けることになるのは、管理体制の行き届いていない場所での発生ということになります。
ただ、そうした場所のほうが多いので被害の発生を予期することができず、気象などに伴って警報を出すなどの対応に限られます。
このため、対応が後手後手になる傾向があるのです。
結果として毎年のようにどこかしらで土砂災害が生じて、報道されることになります。
ただ、専門家でも原因を究明しないと、なぜ土砂災害が発生したのかわからないくらい難しいものであることは知っておいて欲しいと思います。
このため、自分で自分の身を守るためには、地域全体についての情報として気象庁から公表される警戒レベルというものが、非常に重要な意味を持つことになるのです。
気象庁が公表する情報に注意して、警戒レベルが上がったら躊躇なく非難するように準備しておいてください。