地盤地震学会耐震

異常震域について

一般的に、地震の揺れは震源に近いほど強く、震源から遠くなるほど弱くなります。

しかし、深い場所で発生する地震(深発地震)では、震源に近い場所よりも遠く離れた場所のほうが強く揺れる場合があります(このことを異常震域と呼びます)。

この異常震域を伴う地震が、5月9日17時33分頃に発生しました。震源は伊勢湾だったのですが、揺れが観測されたのは関東から東北にかけてのエリアで、震源に近い愛知や三重では有感地震は観測されていません。

先に示したように、深い場所で発生した地震は海洋プレート内で発生したものであり、その上部にある陸側のプレートとは性質が異なるものであり、そのまま地震動が伝わることは難しくなります。

一方で、海洋プレート上については地震波が伝播しやすいので、海洋プレートの伏在震度が浅くなって、陸側のプレートでも性質が異なる地表に近い部分では揺れが伝わりやすくなり、結果として地震の揺れが地表面に到達してしまい、実際に地震として観測されることになります。

5月9日伊勢湾の地震では、震源深さが340km(速報値)と深く、通常の地震が深さ100㎞未満(大半は50㎞以浅)であることを考えると、珍しい地震ということになります。

もう一つ事例をあげます。上図は2007年7月16日23時17分に発生した、震源を京都沖とする震源深さ374㎞、M6.7の地震の震度分布を示したものです。

震源に近い京都府では震度1か2ですが、遠く離れた北海道浦幌町で震度4が観測されています。

このように遠くで発生した地震で大きく揺れる、ということが生じ得ますので、普段地震の少ない場所でも備えは怠らないようにしておいて欲しいと思います。

※本ページに記載した図は気象庁のホームページより引用させていただきました。

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