鬱陶しい梅雨の時期を迎えました。
毎年のように梅雨や台風の影響による集中豪雨で、紙面をにぎわす被害が多くなっていると感じます。
日本国内は、平野部が少なく高低差の存在する場所が多いことから、降雨が集中的に集まった場合、土砂災害が発生しやすい地形であるということは広く知られています。
また、各都市部は地面がコンクリートやアスファルトで覆われています。ゲリラ豪雨や台風などによる豪雨の際に降雨量が許容量を容易に超えてしまいます。下水から逆流した水が外部に流れ地下道などにたまり、車が立ち往生するなどの被害が発生します。
また、都市部は意外と河川が多く、河川に流れ込む雨水の量が限界を越えると堤防の決壊などの現象を生じ、家屋の浸水や洪水といった災害をもたらすことになります。
そして、今年もこうした水害が発生しやすい時期になりました。
今年は、残念なことに屋久島において局地的な豪雨による騒ぎが起こってしまいました。屋久島には大きな河川がなく、島の中心部には宮之浦岳という九州地方最高峰の山が存在し、山に降った雨は傾斜に沿って人里のある島の外周部(沿岸部)へと流れていく形になっています。このため、もともと存在する谷部や小河川に水が集中し、増水した川によって山道が寸断されたために登山客が孤立する、ということにつながったと考えられます。屋久島の場合は局地的豪雨と地形的特徴で生じたものである、といえるものです。
このような豪雨と地形的特徴や地質的特徴によって生じる土砂災害が、今年は生じないことや生じても最低限の被害で終結することを祈るのみです。
なお、地質的特徴で、水を通しにくい地質の上側に水を通しやすい性質の地質が存在する場合などは、深部に水が浸透せず、上側の地層内部に水をとどめることになります。水がたまった地層は、水のないときよりも重くなり、その増えた重量に耐えることができなくなった時、崩壊することになります。
雨が降った後で地盤が不安定になる。天気予報で良く聞くこの言葉は、雨がやんでも地中に水が残っていることを考慮しています。まだ水が多く含まれた状態の所へさらに降雨が重なるとさらに地盤に悪影響を与えることになります。