5月19日、箱根山の噴火警戒レベルが2に引き上げられて大涌谷園地の立ち入りが禁止され、名物であるロープウェイの運行も停止されることになりました。
箱根山は活火山であり、数年前にも警戒レベルが3へと引き上げられることがありました。その時には噴火につながりませんでしたが、複数の火山と火口が存在する複雑な形状をなしており、異なる場所での噴火が幾度も生じている場所なので、必要に応じて警戒しておくことは大切であると考えます。
およそ、箱根では15万年前の火山活動で噴出された溶岩によって真鶴半島が形成されたと考えられており、この他にも6万5千年前の箱根火山の大噴火によって、東京付近でも東京軽石層と呼ばれる地層が構成されるほど軽石が降りそそぎ、火山から生じた火砕流は西側には富士宮市周辺、東側は三浦半島にまで達する、周囲の地形を大きく変えるようなものであったとされています。
火山活動によって生じる、カルデラと呼ばれる凹地形の形成も複雑な過程をたどったために現在のような大きな箱根カルデラになったと考えられています。
実際に噴火した場所によって、溶岩や火山噴出物の構成が異なるものが確認されており、このために箱根周辺では複雑な地質状況を示しています。
つづいて芦ノ湖についてですが、もともと現在とは形の異なるカルデラ湖が構成されていましたが、火山活動によってカルデラ湖は生まれたり消滅したりを繰り返しており、今の芦ノ湖の形になったのは、およそ3100年前の噴火によるもので、このときに早川がせき止められたことによって湖が形成されたのです。
このように、箱根周辺の地形と地質は噴火が発生するごとに様々な要素が加えられてきました。その結果として現在のような景観と複雑な地質構造を生み出しています。そして、これからも変貌していくかもしれません。
箱根を訪ねた時には、長い年月をかけて形作られた地形について、その歴史に思いをはせてみてはいかがでしょうか。